田舎への移住を考えているけど躊躇している人も多いのではないでしょうか。
新天地での生活に対する不安や、
郷土やそこに暮らす人との別れや、
仕事事情など、
さまざまな問題があるからでしょう。
移住にはいくつかの問題を乗り越えるだけの強い想いが必要なのでしょうか。
やっとの思いで移住をしたが、そこには理想とはかけ離れた暮らしが待ち受けていた。なんてことは避けたいもの。
また、田舎暮らしへの夢でいっぱいの状態では、
現実的な未来からは目を背けてしまうの。
私も移住する前は不都合な現実から目をそらしていました。実際に理想とはかけ離れた現実に直面し戸惑いました。
田舎暮らしの理想の形はそれぞれ違うとは思いますが、最初に描いたストーリーと現実が必ずしも一致するとは限りません。実際に群馬県片品村へ移住した経験を活かし、
どうすれば理想の田舎暮らしを実現できるのか、
理想と違った場合どうすればよいか
を解説したいと思います。
先ずは、田舎暮らしの現実についてしっかりと理解することで、
その「望まざる現実」に対処する方法を事前に準備することができるのではないでしょうか。
この記事は、
・田舎暮らしに興味はあるけど不安を抱えている方、
・田舎暮らしを始めてみたけど、理想とはかけ離れていたと感じている方
に参考になれば幸いです。
理想の田舎暮らしとは
理想の田舎暮らし
理想の田舎暮らしは人それぞれではありますが、一般的な理想の田舎暮らしの条件はどのようなものでしょうか。いくつか挙げてみたいとおもいます。
- 人里離れた静かな暮らし
- 古民家をDIY
- 畑付き
- 山林付き
- 格安で理想の物件を取得する。
これらは動画投稿サイトで人気の田舎暮らし動画に多くの場合共通し、そこには理想の田舎暮らしを見る事ができるでしょう。
田舎暮らしになぜ憧れる理由
なぜ田舎暮らしに魅力を感じるのでしょうか。実際に都会の生活は便利で快適です。
都会では仕事を自由に選択することができ、安定した生活も保障されています。都会には多くの人が集まり、効率的に様々な仕事をできるように、作業や職種を細かく分けて分業をしています。その結果、大きな力を生み出すことができるのでしょう。そのため、人それぞれの作業は歯車の一部分に見え、働く事で生きている感覚を実感しにくくなってしまいます。
また、効率化の進む都会では個人個人に、ある程度の自由な時間を持つことができます。「自由な時間」は「生きる実感が解りにくい事」について悩む時間を与えてしまいます。
田舎暮らしでは都会の生活と対局にあると言っても過言ではありません。田舎では決して便利とは言えない環境での生活や、多くの事を自分自身で解決する力が求められます。このような合理的でない環境で工夫し協力しながら生活する事が生きている実感に見えるのでしょう。
都会に暮らしていると田舎暮らしに理想を求めることも自然なことかもしれません。
私の理想の田舎暮らしの条件は、海や山に囲まれた「静かで」広い敷地のある物件で、暮らす事でした。鳥や昆虫の鳴き声で四季を感じながら生活し、空いた時間には山や海で遊ぶことを夢見ていました。実際に移住してみて、理想とは大きく違いました。
金銭的や時間的な制約があり妥協したのです。購入した土地は家庭菜園が少しできる程度で、建物は大きな修繕が必要となり、修繕費は物件価格の3倍程度かかりました。
また、思わぬ騒音問題に直面し、解決するために長い期間を必要としました。さらに、太陽光パネルが周辺に次々と建設されています。
このように私の描いた理想通りには行きませんでしたけれども、前向きに生きることが出来ていると思います。
田舎暮らしの現実と後悔からトラブル回避のポイントを解説
田舎暮らしを成功させるために現実的な田舎暮らしについて考えてみたいと思います。
「理想の田舎暮らし」で挙げた5つの条件について深掘りしていきます。
- 人里離れた静かな暮らし
- 古民家をDIY
- 畑付き
- 山林付き
- 格安で理想の物件を取得する。
これらの田舎暮らしの理想の条件を達成するために、田舎暮らしの現実を踏まえて解決法を解説します。
1,「人里離れた静かな暮らし」の現実と解決法
理想の田舎暮らしの条件の中で「都会から離れた田舎であること」が現実のものとなる可能性が十分にあり、それほど難しくはないでしょう。人里離れての生活は大切な条件の一つです。都会から離れ、静寂と穏やかさに包まれた生活は、田舎暮らしの魅力を最大限に引き出す大切な要素です。
忘れてはならない点は、都会から離れる事で、今までのような便利な生活を失い後悔することも事実。自分が許容できる不便さを客観的に理解することが必要でしょう。
人里から離れることで静かな環境が手に入る反面、普段の生活は不便になります。私の移住先では、ある程度の食材が揃うスーパーは車で45分ほどかかります。1週間から10日ほどでまとめ買いをすることで対処しています。また日曜雑貨などは主に通販を利用しています。
2,「古民家でDIY」の現実と解決法
古い古民家をDIYで改修することはマンションや都会の一戸建てでは味えない魅力があるでしょう。しかしながら、それほど簡単ではありません。程度の良い古民家は価格も高く、格安物件になればなるほど、大きな改修が必要となり、DIYでリフォームするとなると、年単位の膨大な時間が必要となってしまいます。
また、DIYでリフォームの施工費を浮かせたとしても、その期間の生活費と労働コストが必要となり、数年間働かずに生活できる余力が必要です。
とはいえ、自分で作り上げる理想の家はとても魅力的なもの。DIYは思った以上に時間を必要とします。十分に余裕を持った計画を立てる事で実現への第一歩です。
さらに、生活の合間に自分で出来そうな事を少しずつ、DIYで行うとは田舎暮らしの充実度も上がるのではないでしょうか。しかしながら、田舎での生活では都会でのスマートな生活とは違って、仕事以外にもしなければならない事がたくさんあります。それらをこなしながら、DIYをすることは思いのほか大変です。しかし、あまり効率的ではない生活こそが、田舎暮らしの本質であり、都会では味わうことのできない充実した日々であるとも言えるでしょう。
田舎に物件を購入した当初はできるだけDIYでと思っていましたが、あまりDIYは進まず、時間ばかりが過ぎてしまいました。1年以上過ぎた頃から、ある程度はプロの方におまかせして、出来るところを自分でする方針に切り替えました。すべてを自分でするのではなくバランスを考えることも大切だと実感しました。
3,「畑付きの物件」の現実と解決法
畑付きの物件は田舎暮らしを充実させる大きな要因の一つです。家庭菜園程度であれば、実現することは難しくはないでしょう。しかし、本格的な畑付きの古民家で程度の良い物件はそれなりの価格となってしまいます。
また、水田付きの物件は水害に対する注意も必要となります。本来水田は川の側にある場合がほとんど。川の側の平坦な土地は過去の水害によって作られた地形にほかなりません。物件を探す際にはハザードマップを必ず確認しましょう。
本格的な畑付き物件が欲しい場合は、農業従事者にアドバイスを受けるなどし、農業について十分に理解した上で購入することでリスクを軽減することができるかもしれません。
水田を所有したい場合は、水害のリスクの少ない場所に住み、少し離れた場所に水田を借りることも検討するとよいのではないでしょうか。
私の購入した物件は畑付きではありませんが、広くはない庭がありました。これまで未経験であった庭の手入れや草刈りに時間がかかることに最初はかなり戸惑いました。
木の伐採など自分では危険なのでプロの方にお願いする必要があるなど、予想外の事態もあり、理想のガーデニングには程遠いですが、田舎暮らしの楽しみの一つと思って頑張っています。
4,「山林付き物件」の現実と解決法
山林を開拓してキャンプ場などを開くことが出来たら最高です。また自分だけのプライベート空間には多くの人が憧れるのではないでしょうか。山林は価格も安く手に入れる事が出来ますが、山林を購入し田舎での生活を始める際には、地域の建築規制や土地利用に関する法律を確認しなければなりません。
基本的なインフラの有無や自然環境との共存、地元コミュニティとの良好な関係の構築など、多くの法的、環境的、そして社会的な側面に注意を払う必要があります。
一方で、田舎での生活は自然との一体感を深め、静かで平和な環境の中で精神的な安らぎを見つけることができ、持続可能な生活や地域コミュニティとの絆を育む機会に恵まれるでしょう。
5,「格安で理想の物件を取得する」場合の現実と解決法
格安で理想の物件を取得することはにはリスクもつきもの。格安物件を紹介するウェブサイトなどを利用すれば見つけることも難しくはないと思います。大規模な修繕を覚悟の上で格安物件を購入するのであれば、よいのですが、予想以上の修繕に大金が必要となるケースもあります。
DIYで修繕する場合それに要する期間や生活費も考慮しなければならりません。程度の良い物件を格安で手に入れられる幸運な方も中にはいるでしょう。しかしながら、たくさんの人がそのような物件を探していますので、競争は激しいでしょう。
物件を探すための十分な時間を取ることで良い物件に巡り合える可能性が上がるのではないでしょうか。
私の場合、最終的に家の修繕費が、物件購入金額のおよそ3倍を超えてしまいました。ある程度の修繕は必要と予想はしていましたが、予想をはるかに超えるものでした。
不動産業者の方々の助言は正しいと、今更ながら思います。
田舎暮らしの適性診断!向いている人の特徴とは
田舎暮らしに憧れる人は多いですが、実際に移住するとなると、都会とは異なる生活スタイルに適応する必要があります。田舎には自然の豊かさや静寂、地域の温かさがある一方で、自分で問題を解決しなければならない機会が多く、仕事や生活のリズムも異なります。
そこで、あなたが田舎暮らしに向いているかどうかを確認するために、「田舎暮らしの適性診断」をご用意しました。これから挙げる項目に目を通し、自分に当てはまるかどうかをチェックしてみましょう。もし、適していないと思ったあなたも、実際の移住者からの、アドバイスもご用意していますので参考になれば幸いです。
是非、田舎での新しい生活を楽しむための第一歩を踏み出す参考にしてください。
1,自然や静寂を楽しめる人
田舎では、雑踏もなく静かで、空気や水もきれいな環境が多い反面、自然に囲まれた生活をしなければならず、都会では必要の無かった身の回りの作業がたくさんあります。草刈りや虫対策など自然と向き合った生活です。
田舎での暮らしの中で、合理的ではない生活を行う中で、その効果を実感する事で田舎での生活を受け入れ楽しむことができるのではないでしょうか。
例えば、田舎で一軒家では、都会の一軒家の様に整備され維持管理の楽な外構はありません。様々なメンテナンスを自分で行うことが求められます。時間や手間がかかりますが、毎日少しずつ手入れする習慣は、気持ちを落ち着かせる効果やストレス解消にもなります。
2,コミュニティに積極的に参加できる人
田舎では地域社会が密接で、イベントや共同作業が多いです。これは、集団で協力して行う林業、農業や漁業を主な産業としているため、地域で協力する必要があるためです。それぞれの地域の風習を知ることでトラブルを回避することができます。
田舎でのこの様な習慣は、都心部で暮らしていた人にとっては戸惑うこともあるかもしれません。コミュニティに参加することは、煩わしいと感じる人も多いでしょう。
しかしながら、コミュニティに参加することで、たくさんのことを得ることができるかもしれません。
3,自給自足やDIYに興味がある人
田舎暮らしでは、自分で野菜を育てたり、修理やメンテナンスを行ったりすることが求められることがあります。普段から、 基本的な農業やDIYスキルを学び、少しずつ実践することが大切です。
DIYにあまり興味がなかったとしても、必要に迫られて、試行錯誤しているうちに、身に付くものであると思います。出来そうなことがら少しづつ挑戦してみる事も田舎暮らしの一つの楽しみではないでしょうか。
4,インターネットを活用できる人
田舎ではインフラが整っていないことが多く、オンラインでの買い物や仕事が重要になります。
オンラインでの生活用品の購入や仕事環境を整え、インターネットを有効に活用することは田舎での生活で大きく役立つでしょう。
インターネットを活用する事で、生活を豊かにすることができます。大切なことは、移住先のネット環境について下調べすることです。ネットを活用したくても、オフラインでは活用できません。携帯電話の電波状況や、光回線の有無など事前にチェックしましょう。
5,工夫することが好きな人
田舎では、様々なことを自分で解決しなければならない機会が多くあります。また、田舎には仕事が少ないため、自分で仕事を作り出すことが求められる場合があります。
創造力や問題解決能力を活かして、自分自身で新しい仕事や趣味を見つけたり、工夫を凝らして日常生活を豊かにする方法を探すことが大切です。
田舎での生活には工夫は不可欠です。自分で対処しなければならないことも都会に比べれば多くあります。様々なことを試してみたり、チャレンジすることで、ひらめく力が身に付き、工夫する事を楽しむことが出来るでしょう。
このように、田舎暮らしには特定のスキルや適応力が求められることが多いため、自分の特性や興味に合った生活スタイルを見つけることが成功への鍵となります。
田舎暮らしで得られたこと
都心部での生活は便利で快適です。しかし、便利な生活は、それぞれの人が役割を細分化して分担しているため、個々の仕事が生きる実感へと繋がりにくい欠点もあります。
一方、田舎では、仕事は都会程細分化されておらず、効率的ではない反面、達成感を感じやすい仕事が多く、生きる実感を得やすい環境にあります。
私自身、移住前の理想と移住後の現実とには大きな差がありました。移住前の私は田舎暮らしの外見だけにとらわれていたと思います。理想は海や山に囲まれた静かで広い敷地のある物件で暮らすこと。
しかし、実際に移住してからは、思い描いた通りには行かないことの方が多く、移住先で生活していくうちに、そこで何をしなければいけないかを自然に理解できたのではないかと思います。
不便な環境であるからこそ、考えて行動し工夫する習慣が少しずつ身につきました。そうする事こそが田舎暮らしの本質であり、生きる事を実感できる良い点ではないでしょうか。
皆様が描かれる理想的な田舎暮らしが、実現されますよう心より願っております。
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