標高1000m暮らしの疑問に回答【高山病、酸素、気温差】

移住

標高1000mでの実際の暮らしは想像できないですよね。

高山病にならないの?
体への影響はないの?
気圧差はどれくらい?
気圧差で気象病になるリスクは?
気温はどれぐらい違うの?

この様な疑問に、実際、私たちが移住先に標高1000mの地を選ぶ際に調べたことや、住んでみて起こった変化、メリットデメリットなどを解りやすく解説します。

この記事でわかること

・メリットとデメリット
・人体への影響、「高山病」、頭痛などの原因の一つ「気象病」について
・標高による気温の差はどれくらいか

実際に標高1000mに住んで分かったこと

標高1000での暮らしのメリットとデメリット

標高1000mで暮らす場合のメリットとデメリットを見て行きましょう。

メリット

  1. 気温が低い: 低地よりも気温が低く、特に夏場は涼しく過ごしやすい。
  2. 空気が澄んでいる: 標高が高い場所は大気中の塵や汚れが少なく、空気がクリアであることが多い。
  3. 星が綺麗に見える: 低地の光害が少なく、夜空の星や天体が綺麗に観察できる。
  4. 自然に囲まれる: 標高が高い場所は自然に恵まれており、四季折々の風景を楽しむことができる。
  5. 蚊やゴキブリが少ない: 高地では冬の気温が低く、蚊やゴキブリにとって過ごしにくい環境であるため、あまり見かけることがありません。

デメリット

  1. アクセス: 標高が高い場所は都市部や施設から距離があることが多く、車がないと不便である可能性がある。
  2. 気温変動: 寒暖の差が大きいことがある。特に冬は非常に寒くなる可能性が高い。
  3. 紫外線が強い: 標高が高い場所は大気が薄くなるため、紫外線が地表に到達しやすくなります。したがって、紫外線(UV)の量が増加する傾向があります。
  4. 生活必需品の確保: 高地ではスーパーや病院などの施設が限られているため、日常の生活が少し大変になる可能性がある。
  5. 建物の維持: 雪が多い場所や激しい風が吹く場所では、家の維持や修理が必要になることが多い。

標高1000mでの暮らしのヒント

 標高1,000mでの生活は、自然との接触を深めることができる一方、日常の便利さやアクセス性には欠けることが考えられます。具体的な場所や環境によって、上記のメリット・デメリットが変わる可能性もありますので、その地の実情をよく調査することが重要です。

 実際に、標高1000mの田舎暮らしをした結果、移住前には気象病などの不安がありましたが、標高1000mに起因する、体に悪い影響はないように感じています。
 驚いた事は、ゴキブリがいないことや、蚊が少ないこと。その代わりに、アブやブヨ、カマドウマ、カメムシなどの虫がたくさん出現します。
 生活面では冬が寒く、積雪がある地域なので、雪かきや、雪下ろしなどをする必要がありました。
 良かった点は、高原野菜が安く手に入ること。一日の寒暖差が大きいため、糖度が高くおいしい野菜が豊富です。
 また、自然豊かで、四季の変化を感じることができます。

標高1000mにある小さなホテル

 私たち夫婦は標高1000mに移住後、購入したペンションをリノベーションして、新しいタイプの宿泊施設を作ることを考えました。
 主な理由は、

・自然豊かな観光地であった。
・移住のために購入した物件がペンションであった。

地方では都会に比べて仕事が少ない傾向にあります。
自分たちで仕事場を作ることができる、メリットもあります。

 なにより、自分たちが移住して感動した体験を共有できるのではないかと考えたからです。
宿泊施設の名前は、

 Hidden Gem Hotel ichimonzi 

Hidden Gemは隠れた宝石を見つけた時の気持ちを表しています。

 居心地の良い空間、快適な時間を過ごすことのできる”場”をコンセプトに、これまでにない宿泊施設を提案します。
 楽しい時間、落ち着いた一時、あなただけの楽しみ方を探してみてはいかがでしょうか。

 田舎暮らしを学べる講座を開催するなど、標高1000mのくらしを体験するにもぴったりです。

標高の高さが人体に与える影響

標高1,000mでの暮らし

 標高1,000mでの暮らしは、低地に比べていくつかの体への影響があります。
ただし、1,000mは中高地とも呼ばれ、極端な高山に比べてその影響は比較的穏やかです。以下は主な影響を挙げます。

  1. 酸素濃度の低下: 標高が上がると大気圧が低くなり、酸素分子の密度も低下します。しかし、1,000m程度の高度では多くの人にとっては大きな問題にはなりにくい。それよりも高い標高での滞在や急激な高地への移動の際には、高山病のリスクが高まることが知られています。
  2. 心拍数や呼吸数の増加: 酸素量が低下すると、体は酸素を効率的に取り入れるために心拍数や呼吸数を増やすことがあります。
  3. 血の粘度が増す: 高地では、酸素を効率よく運ぶために赤血球の数が増加することがあります。これは、長期的には血の粘度を増加させることが考えられ、一部の人々には血栓のリスクが増加する可能性がある。
  4. UV放射量の増加: 標高が上がると、大気中の水蒸気やその他の物質が減少するため、紫外線の量が増加します。これにより、日焼けや皮膚へのダメージのリスクが高まることがあります。
  5. 乾燥: 標高が高い場所は、相対湿度が低くなる傾向があり、乾燥による皮膚の乾燥や目の不快感などが生じる可能性がある。
  6. 冷え: 標高が高くなると気温が下がるため、低地に比べて冷えやすい。これにより、関節痛や風邪を引きやすくなるリスクが考えられる。

 標高1,000m程度での暮らしは、極端な高地に比べれば人体への影響は大きくはないと考えられますが、体調の変化には十分注意する必要があります。特に高地への移動を急に行う場合や、特定の健康状態を持っている場合は医師のアドバイスを受けることが望ましいです。

標高2,000m以上での暮らし

標高2,000m以上、特に3,000m以上の都市は、

  1. ラ・パス (La Paz) – ボリビア
    • 標高: 約3,650m〜4,100m。ボリビアの行政の首都であり、世界で最も高い首都の一つとして知られています。
  2. クスコ (Cusco) – ペルー
    • 標高: 約3,400m。古代インカ帝国の首都で、現在はマチュ・ピチュへの観光の出発点となっています。
  3. キト (Quito) – エクアドル
    • 標高: 約2,850m。エクアドルの首都で、赤道直下に位置しています。
  4. ボゴタ (Bogotá) – コロンビア
    • 標高: 約2,640m。コロンビアの首都で、大都市です。
  5. アジスアベバ (Addis Ababa) – エチオピア
    • 標高: 約2,355m。エチオピアの首都で、アフリカ大陸の高地に位置しています。
  6. レー (Leh) – インド
    • 標高: 約3,500m。ラダック地域の主要都市で、ヒマラヤ山脈に囲まれています。
  7. リハーザ (Lhasa) – 中国(チベット自治区)
    • 標高: 約3,650m。チベットの主要都市で、チベット仏教の中心地です。

などがあります。それぞれの都市にはたくさんの人が暮らしています。
 これらの都市は高地に位置しているため、訪問する際には高地病に注意する必要があります。特に急激に高地に昇る場合は、体が高地の環境に慣れる時間を取ることが推奨されます。

それでは、一般的な健康への影響に関する情報を見てみましょう。

  1. 酸素濃度の変化:高地では大気の酸素分圧が低下します。これにより、身体はより多くの赤血球を産生することで適応しようとします。これは一時的に持久力やスタミナの向上に寄与するかもしれませんが、非常に高い高地では高地病のリスクが増えます。ただし、標高1,000mでは高地病のリスクは非常に低いとされています。
  2. 心血管の効果:高地には心臓に良い影響を与える可能性があるといくつかの研究で示されています。例えば、Andean HighlandersやTibetan Highlandersなど、長い間高地で生活してきた人々は、心臓疾患のリスクが低いことが示されています。
  3. 呼吸の効果:高地では呼吸筋のトレーニング効果が期待されることがあります。一部の研究では、高地での生活が肺の機能や呼吸筋の効率を向上させる可能性があるとされています。
  4. 代謝の変化:高地では基礎代謝が少し上昇する可能性があります。これは身体が酸素の低い環境に適応しようとする反応の一部として考えられます。

紫外線(UV)の量

 標高が高い場所では紫外線(UV)の量が増加する傾向があります。標高が1000メートルの地点は、海抜0メートルの地点と比較して紫外線の量が多くなります。これは大気が薄くなるため、紫外線が地表に到達しやすくなるからです。

日焼けしやすい

 紫外線の量が増えると、日焼けしやすくなります。そのため、標高1000メートルの地点で外にいる時間が同じであっても、海抜0メートルの地点にいるときよりも日焼けのリスクが高くなります。

 紫外線によるダメージを防ぐためには、高標高地帯では特に、日焼け止めをしっかりと塗り、適切な服装をすることが重要です。また、紫外線が最も強い時間帯(通常は午前10時から午後4時まで)には屋外活動を控えると良いでしょう。

標高が高くなるとどれくらい紫外線が増えるの?

 標高と紫外線の量の関係については、一般的には標高が1000メートル上がるごとに紫外線の量は約10%〜12%増加すると言われています。しかし、これはあくまで一般的な目安であり、実際の紫外線の量は天候、地域、季節など多くの要因によって変動します。

 例えば、海抜0メートルの地点での紫外線指数が5であったとすると、標高1000メートルの地点では紫外線指数が約5.5〜6になる可能性があります。紫外線指数が1増加するごとに、日焼けのリスクは約10%増加すると言われているため、この例では標高1000メートルの地点での日焼けのリスクは海抜0メートルの地点よりも約50%〜60%高くなると考えられます。

 ただし、紫外線から肌を守るためには、紫外線指数に応じて適切な対策を取ることが重要です。日焼け止めをしっかりと塗る、長袖の服や帽子を着用する、日陰を利用するなどの対策を取ることで、紫外線によるダメージを軽減することが可能です。

 標高1000mの地に移住した最初の年は、日焼け対策まで気が回らず、腕が真っ黒に日焼けしてしまいました。次の年がらは、日焼け対策をしっかりとするようになり、日焼けすることは少なくなりました。
 毎日、日焼け止めを塗ることが日課になっています。

高山病


 高山病は、高地において酸素分圧が低下することによって生じる一連の症状を指します。主に、大気中の酸素の濃度が低い高地に急激に移動した際に発症することが多いです。

主な症状

主な症状

・頭痛
・吐き気、嘔吐
・食欲不振
・疲労感、倦怠感
・呼吸困難
・睡眠障害

さらに、症状が進行すると次のような重い合併症を引き起こすことがあります。

  1. 高山脳浮腫 (HACE: High Altitude Cerebral Edema): 脳に浮腫が生じる。意識障害や歩行障害などの症状が現れることがある。
  2. 高山肺浮腫 (HAPE: High Altitude Pulmonary Edema): 肺に浮腫が生じる。呼吸困難や胸痛、咳に血痰が出るなどの症状が現れる。

高山病のリスク

  • 2,500m以上の標高で高山病の初期症状が現れることが多い。
  • 3,500m以上になるとリスクは高まり、特に5,000mを超えると非常に高いリスクとなる。
  • ただし、個人の体質や健康状態、標高を上げる速度、過去の高地経験などによって、発症のリスクや重症度は異なる。

高山病の予防策

  1. 徐々に標高を上げる: 急激に高地に移動するのではなく、段階的に標高を上げて体を慣らす。
  2. 適切な休息: 高地に到着したら、十分な休息をとる。
  3. 水分摂取: 脱水を防ぐため、十分な水分を摂取する。
  4. アセタゾラミドなどの薬を使用: 医師の指示のもと、高山病の予防や症状の軽減のための薬を使用することもある。

 高山病の症状が現れた場合は、できるだけ低地に下ることが重要です。症状が重くなると、命に関わることもあるため、無理をせず、体調の変化に注意を払うことが必要です。

標高1000mの気圧差

 標高に応じた気圧の変化は、気温や湿度、大気の成分など多くの要因に影響されるため、正確な値は一概に言うことが難しいです。
したがって、標準的な大気条件下での一般的な値です。

標高0m(海面)の標準気圧は約1013.25 hPa(ヘクトパスカル)です。

 標高1,000mでの気圧は、概ね約900 hPa前後となるとされています。ただし、これはあくまで一般的な値で、実際の気圧は前述のように多くの要因に影響されます。

したがって、標高0mと標高1,000mの間での気圧の差はおおよそ100 hPa程度となると考えられます。

 気象の変化に伴う頭痛や不調は「気象病」として知られ、多くの人々がこれを経験しています。特に、気圧の変動は頭痛の要因としてよく指摘されています。

気象病

気象病の背景

  1. 気圧の変化: 低気圧が近づくと、大気中の気圧が下がります。これによって、体内の気体が膨張すると言われており、これが頭痛や関節痛を引き起こすと考えられています。
  2. 静電気: 乾燥した環境では静電気が増加し、これが体調不良の一因となることが指摘されています。
  3. 温度・湿度の変動: 突然の温度変化や湿度の変動も体調に影響を及ぼすことがあります。

標高1000mでの暮らしは気象病を引き起こすのか

 標高0m地点と1000m地点での気圧差が100 hPa程度の場合、これが直接頭痛を引き起こすかどうかは一概には言えません。しかし、以下の点を考慮すると影響が考えられます。

  1. 急激な変化: 標高を急激に変えた場合(例: 山に登る、飛行機での移動など)、その変動に体が追いつかず、頭痛や他の不調を感じることがあります。
  2. 感受性: 人によって気象病に対する感受性は異なります。敏感な人は、気圧の変動や標高の変化による影響を強く感じることがあります。

 しかし、1,000mの標高変化による100 hPaの気圧差だけで頭痛を感じる人は限られているでしょう。高山病のような症状は、通常、もっと高い標高での急激な気圧の変動時に生じることが多いです。

最後に、頭痛や体調不良を感じる際は、必ず医師の診断を受けることをおすすめします。

標高1000mの気温差

 標高による気温の変化は、その地域の気候や季節、地形など様々な要因に影響されますが、一般的な指標として「標高腕鳴度(ラプスレート)」が用いられます。

ドライアディアバティック腕鳴度(乾燥空気の気温減少率):

  • 平均的には、標高が上がるごとに約9.8°C/kmの気温低下が見られるとされます。この場合、標高が100m上昇するごとに約0.98°C気温が低下することになります。

湿潤アディアバティック腕鳴度(湿った空気の気温減少率):

  • 湿度が高い場合や雲が発生する場合など、このラプスレートは4〜9°C/kmとなることが多いです。具体的な値は湿度の具体的な値や雲の状態などに依存します。

 例えば、ある地点の標高が0mで気温が20°C、隣接する山の頂上が1,000mである場合、ドライアディアバティック腕鳴度を基準にすると山の頂上の気温は約10°C程度になると予測できます。ただし、実際の気温は風の影響や日射の有無、土地の特性など様々な要因によって変動しますので、この計算はあくまで概算として考えるべきです。

 このような知識をもとに、山登りやハイキングなどのアクティビティを計画する際には、目的地の標高や気温の変動を考慮して、適切な装備や対策を取ることが大切です。

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